税金の支払いスケジュールは? 個人(会社員・個人事業主)と法人を徹底解説

いつ、どのような税金を、いくら支払う必要があるのか、税金のスケジュールや仕組みは複雑で把握しにくいものです。
特に、会社員から独立して個人事業主になった方や、新しく会社を設立した経営者の方は、納期限の管理に不安を感じることも多いのではないでしょうか。
納税のスケジュールをあらかじめ正しく把握しておくことは、急な資金繰りの悪化や納期限遅延によるペナルティを防ぐ上で非常に重要です。
本記事では、個人(会社員・個人事業主)と法人のそれぞれについて、主要な税金の支払いスケジュールや仕組みを分かりやすく解説します。

 

ご自身の立場に合わせて、下記のリンクから該当の解説へ移動できます。

1. 個人の税金支払いスケジュール

はじめに、個人が納める税金について解説します。
個人に課される代表的な税金は「所得税」と「住民税」の2種類です。
同じ個人であっても、給与所得者である会社員と、事業を行っている個人事業主とでは、納税の手続きやタイミングが大きく異なります。

① 給与をもらっている人(会社員・パートなど)の場合

会社員やパート・アルバイトといった給与所得者の場合、勤務先が納税手続きや税額計算を代行するため、ご自身で税務署へ足を運ぶ機会は多くありません。
毎月の給与から税金が差し引かれる(源泉徴収される)仕組みと、年間のスケジュールを押さえておきましょう。

所得税:毎月の給与天引きと「年末調整」による精算の仕組み

所得税は、その年の1月1日から12月31日までに生じた個人の所得に対して課される国税です。

  • 毎月の給与からの天引き(源泉徴収):
    毎月の給与や賞与から、概算の所得税があらかじめ引き落とされています。
  • 12月の年末調整による税額精算:
    その年の最終的な給与額が確定する12月に、1年間で納めた概算の税金と本来納めるべき税額の差額を計算します。納め過ぎていた場合は差額が還付(返金)され、不足していた場合は追加で徴収されます。

住民税:前年所得をもとに「翌年6月」から徴収開始

住民税は、お住まいの市区町村や都道府県に納める地方税です。所得税とは異なり、「前年の所得に対して翌年課税される」という特徴があります。

  • スケジュール:
    年末調整のデータが各市区町村へ送付され、税額が算出されます。決定した税額は、翌年6月から翌々年5月までの12回に分けられ、毎月の給与から引き落とされます。
  • ポイント:
    住民税は前年分の確定した所得を基準に計算されるため、所得税のような年末調整による再計算はありません。

税務上の留意ポイント

  • 新卒社員の場合:
    社会人1年目の方は、前年に収入がない(あるいは少ない)ため、入社年度の住民税は発生しません。社会人2年目の6月給与から住民税の天引きが開始され、手取り額が減少するため注意が必要です。
  • 定年退職した場合:
    退職した翌年は給与所得がない場合でも、前年中の所得に応じた住民税の請求が届きます。退職後の資金管理において、翌年分の住民税を確保しておくことが重要です。

確定申告が必要となるケース

会社員は原則として年末調整により手続きが完了しますが、以下の条件に該当する場合は、ご自身で確定申告(毎年2月16日〜3月15日)を行う必要があります。

  • 副業による所得(利益)が年間20万円を超えた場合
  • 年間の給与収入が2,000万円を超えている場合
  • 医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例制度を利用しない場合)を適用したい場合

確定申告を行った場合は、提出した申告データに基づいて最終的な所得税の精算および翌年度の住民税額の計算が行われます。

② 事業をしている人(個人事業主・フリーランス)の場合

続いて、個人事業主やフリーランスなど、自ら事業を営んでいる方の納税スケジュールです。

給料からの天引き制度はないため、ご自身で納期限を管理し納付する必要があります。

所得税:確定申告による納付および「予定納税」制度

  • 確定申告での納付(原則3月15日まで):
    1月1日〜12月31日までの1年間の売上や経費を計算して確定申告を行い、原則として翌年3月15日までに1年分の所得税を一括で納付します。
  • 士業(弁護士・税理士等)の場合:
    報酬を受け取る際があらかじめ所得税が源泉徴収(天引き)されています。そのため、確定申告時に年間の正式な税額を計算し、源泉徴収分との差額を納付、あるいは還付(返金)を受ける手続きとなります。
  • 士業以外の場合(天引きなし):
    報酬受取時の天引きがないため、確定申告時に1年分の税額をまとめて納付します。
  • 翌年以降の予定納税制度:
    前年分の確定所得税額が15万円以上であった場合、その年の所得税の一部をあらかじめ前払いする「予定納税」の対象となります。
    ・第1期:7月1日〜7月31日(前年税額の3分の1)
    ・第2期:11月1日〜11月30日(前年税額の3分の1)
    ・確定申告時(翌年3月15日): 残りの税額を精算

住民税:6月・8月・10月・1月の年4回納付

確定申告データが自治体に送られた後、税額が計算され、毎年6月頃に自宅へ住民税の納付書が届きます(これを普通徴収と呼びます)。
毎月給与から天引きされる会社員とは異なり、原則として年4回に分けてご自身で納付します。

  • 第1期:6月中
  • 第2期:8月中
  • 第3期:10月中
  • 第4期:翌年1月中

全額を一括で納付することも可能です。納期限を過ぎると延滞金が発生するリスクがあるため、スケジュール管理に注意しましょう。
※消費税の納付スケジュールについては、法人の項目にて合わせて詳しく解説します。

2. 法人の税金支払いスケジュール

ここからは、法人(会社)の納税スケジュールについて解説します。

個人と大きく異なる点は、法人は「事業年度(決算月)」を任意で設定できる点です。
そのため、納税期日も「決算日から◯ヶ月以内」という基準で定められています。

① 法人税(法人住民税・法人事業税を含む)

会社の利益(所得)に対して課される代表的な税金です。

  1. 確定申告と納付(決算日から2ヶ月以内):
    決算により最終的な損益が確定した後、決算日の翌日から2ヶ月以内に確定申告を行い、税金を納め直します。(例:3月決算の会社であれば5月末日が納期限となります)
  2. 中間納付(決算日から8ヶ月以内):
    前年度の法人税額が一定基準(20万円)を超えている場合、事業年度の折り返し地点(6ヶ月経過時点)から2ヶ月以内(決算日から8ヶ月後)に、前年度税額の約半分を前払い(中間納付)する義務が生じます。
  3. 当期業績悪化時の「仮決算」の活用:
    「当期上半期の業績が著しく悪化し、前年度の半額を納めるのが困難」という場合は、上半期のみの実際の業績に基づいて計算する「仮決算」を行い、その実額で納付することも選択可能です。ただし、計算実務の手間を考慮し、前年度実績に基づく計算を選択するケースも多く見られます。
  4. 確定申告による精算:
    決算申告の際、中間納付した税額と最終的な確定税額を相殺して精算を行います。当期が赤字となり納付すべき税額がない場合は、中間納付した全額が還付されます。

② 消費税

事業者として預かった消費税から、支払った消費税を差し引いて納付する手続きです。

  1. 確定申告と納付(決算日から2ヶ月以内):
    事業年度内で預かった消費税と支払った消費税を計算し、決算日から2ヶ月以内に申告・納付します。
    個人事業主の場合は、決算日が12月31日になり、納付期限は3月31日になります。納付期限が1ヶ月長くなる事以外は、法人と同じルールが適用されます。
  2. 中間納付(決算日から8ヶ月後〜):
    原則として、決算日から8ヶ月後に前年度の消費税額の半分を中間納付します。
    ・※直前事業年度の消費税額(国税分)の規模に応じて、中間申告の回数は年1回・年3回・年11回と増加します。
    ・詳細な適用基準につきましては、国税庁:消費税の中間申告の手続をご確認ください。
  3. 仮決算による申告:
    法人税と同様に、上半期の業績に応じて仮決算を行い、実際の計算に基づいた金額で納付することも認められています。
  4. 確定申告による精算:
    最終決算時に中間納付額との精算を行い、納め過ぎとなっている場合は還付を受けます。

③ 源泉所得税(従業員や役員の給与から預かる分)

  • 法人は、役員や従業員に給与を支払う際、その給料から所得税を差し引き(源泉徴収)、代わりに国へ納付する義務があります。
  • 毎月納付(原則):
    給与を支払った日の「翌月10日まで」に、源泉徴収した所得税を税務署へ納付します。
  • 納期の特例(給与支給対象者が常時10人未満の会社):
    従業員が常時10人未満の小規模事業者の場合、税務署へ申請を行うことで、毎月納付から「年2回」のまとめ納付へ変更可能です。
    1月〜6月支給分: 7月10日までに納付
    7月〜12月支給分: 年末調整の実施後、翌年1月20日までに納付
    ・その年の最終的な給与額が確定する12月に、1年間で納めた概算の税金と本来納めるべき税額の差額を計算します。納め過ぎていた場合は差額を従業員に還付(返金)し、不足していた場合は追加で従業員から徴収します。
    ・従業員への還付と徴収の調整後に、預かっている源泉所得税の方が多い場合には、税務署に納付します。従業員への還付が多く預り所得税がマイナスになった場合には、還付申告をするか、次回の納付時に差引いて納付します。

④ 住民税(特別徴収:従業員から預かる分)

従業員個人に課される住民税についても、会社が毎月の給与から天引きし、各自治体へ納付する仕組みとなっています(特別徴収)。

  • 毎月納付(原則)
    年末調整後に提出した給料支払報告書に基づき、毎年5月頃に各市区町村から自治体指定の決定通知書と納付書が会社へ届きます。
    6月支給の給与より天引きを開始し、翌月10日までに各自治体へ納付します。
  • 納期の特例(給与支給対象者が常時10人未満の会社)
    源泉所得税と同様に、事前申請により年2回への取りまとめが可能です。
    ・6月〜11月支給分: 12月10日までに納付
    ・12月〜翌5月支給分: 6月10日までに納付

6ヶ月ごとに納付する仕組みは所得税と同じですが、集計期間と納付期限が所得税より1ヶ月早いのでご注意ください。
詳しくは前述した「住民税:前年所得をもとに「翌年6月」から徴収開始 をご確認ください。

3. 税金の納付方法まとめ(個人・法人)

納税の手続きや手段についてまとめました。

近年ではキャッシュレス化が進み、個人・法人ともに多様な納付方法が用意されています。

① 個人の主な納付方法

税金の種類 主な納付方法
所得税(国税) ・振替納税(指定口座からの自動引き落とし:推奨)
・納付書(金融機関や税務署の窓口)
・QRコード・コンビニ納付
・クレジットカード・各種スマホ決済アプリ
住民税(地方税) ・口座振替(自動引き落とし)
・納付書(金融機関やコンビニエンスストアの窓口)
・QRコード・スマホ決済(PayPay等)
・クレジットカード
消費税 ・振替納税
・ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替、自動ダイレクト)
・インターネットバンキング等
・クレジットカード納付
・スマホアプリ納付
・コンビニ納付(QRコード)
・現金納付

税務上の利便性とポイント(個人)

所得税で「振替納税」の手続きを選択すると、本来の納期限である3月15日から、4月中旬〜下旬頃へ実際の引き落とし日が猶予されます。資金管理の観点からも余裕が生まれるため、口座振替手続きを事前に完了させておくことをおすすめいたします。

② 法人の主な納付方法

税金の種類 主な納付方法
法人税・消費税・源泉所得税(国税) ・ダイレクト納付(e-Taxによる指定口座からの引き落とし)
・自動ダイレクト(申告データ送信に伴う自動引き落とし)
・Pay-easy(ペイジー)納付
・納付書(金融機関窓口)
・QRコード納付(コンビニエンスストア)
法人住民税・法人事業税(地方税) ・ダイレクト納付(eLTAXによる指定口座からの引き落とし)
・Pay-easy(ペイジー)納付
・納付書(金融機関窓口)

税務上の利便性とポイント(法人):ダイレクト納付と「自動ダイレクト」の違い

  • ダイレクト納付:
    e-Tax(またはeLTAX)で申告書データを送信した後、届いたメッセージから手動で振替日・引き落とし指示を行う納付方法です。
  • 自動ダイレクト:
    申告書データを送信するだけで、個別の引き落とし指示を出さなくても法定納期限日に指定口座から自動的に引き落とされる便利な仕組みです。

※なお、「自動ダイレクト」は国税(法人税・消費税・源泉所得税など)で利用可能な制度となります。地方税である「法人住民税」および「法人事業税」では自動ダイレクトが対象外(通常のダイレクト納付等は可能)となりますので、納付手続きの際はご注意ください。

4. まとめ:スケジュールを把握して計画的な資金管理を

今回は、個人と法人の納税スケジュールや仕組みについて解説しました。
重要となるポイントは以下の通りです。

  • 会社員: 毎月天引きと12月の年末調整で精算。翌年6月から新しい住民税額が適用される。
  • 個人事業主: 3月15日までに所得税を納付。3月31日までに消費税を納付。6月・8月・10月・1月に住民税を納付(※前年実績により7月・11月に予定納税あり)。
  • 法人: 決算後2ヶ月以内に、消費税・法人税・法人事業税等の確定申告・納付に加え、8ヶ月目の中間納付が必要。従業員の源泉税・住民税(毎月10日納期限)の期日管理も必須。

税金は「いつ」「いくら」の納付が必要になるかを事前に見通しておくことで、手元の資金繰りや経営判断にゆとりを持たせることができます。
カレンダーやリマインダーに期限を整理し、計画的な資金準備に役立ててください。