「年末調整と確定申告、自分にはどちらが必要なのか?」「経営者やフリーランスは年末調整の対象外って本当?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、年末調整と確定申告の基本的な違いから、経営者や個人事業主(フリーランス)が自身で対応すべき税務処理、さらには従業員の年末調整で経営者が押さえるべきポイントまで、網羅的に解説します。複雑に感じがちな税務処理の全体像を把握し、よくある勘違いを解消しポイントを把握していきましょう。
年末調整とは?

年末調整とは、会社(雇い主)が従業員に対して行う、その年の所得税額を確定させるための重要な手続きです。給与から毎月天引きされている所得税(源泉徴収税額)は、あくまで概算で計算されています。そのため、年末に年間を通じて支払われた給与や賞与の総額、そして従業員が受けることができる各種所得控除をすべて考慮して、最終的な所得税額を正確に計算し直す必要があります。この再計算によって、従業員が納めすぎた税金があれば還付され、不足があれば追加で徴収されることになります。
会社(雇い主)が従業員の所得税を再計算する手続き
年末調整は、主に会社に雇用されている給与所得者を対象に行われます。会社は、従業員から提出される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や「給与所得者の保険料控除申告書」「住宅借入金等特別控除申告書」などの書類に基づいて、その年の1月1日から12月31日までの給与や賞与の総額を確定させます。そこから、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除、住宅ローン控除といった様々な所得控除を適用し、最終的に納めるべき年間の所得税額を算出します。
この計算された年間の所得税額と、すでに毎月の給与から源泉徴収された所得税額とを比較し、過不足を調整します。多くの場合、払いすぎた税金が従業員に還付される形となりますが、稀に不足分が徴収されることもあります。この一連の手続きを会社が代行することで、従業員は自分で税金を計算し、税務署に申告する手間を省くことができます。
フリーランスや経営者自身は年末調整の対象外
年末調整は、会社に雇用されている給与所得者のための制度であり、原則としてフリーランスや個人事業主、そして自身が事業主である経営者自身は年末調整の対象外となります。フリーランスや個人事業主は、給与所得ではなく事業所得を得ているため、年末調整ではなく、自ら所得と税額を計算し、税務署に「確定申告」を行う必要があります。
また、会社の役員として報酬を受け取っている経営者であっても、原則として年末調整の対象とはなりません。自身が事業を運営し、事業所得を得ている場合や、給与以外の所得がある場合は、確定申告を通じて全ての所得を合算し、最終的な所得税額を計算・納税する義務があります。ただし、経営者であっても、他の会社から給与を受け取っている場合は、その給与所得については年末調整の対象となることがあります。しかし、その場合でも、自身の会社の役員報酬や事業所得については、別途確定申告が必要です。
確定申告とは?

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に生じた個人の所得と、それに対する所得税額を計算し、税務署に申告・納税する一連の手続きのことです。
会社員の場合、通常は会社が行う年末調整によって所得税の精算が完了しますが、個人事業主やフリーランス、または特定の条件に該当する会社員は、自ら確定申告を行う必要があります。
確定申告の目的と対象者
所得税の精算と納税・還付
確定申告の主な目的は、個人の1年間の所得と所得税額を正確に確定させることです。この手続きを通じて、源泉徴収などで事前に納めた税金と、実際に納めるべき税金の過不足を調整します。
税金が不足していれば追加で納税し、払い過ぎていれば還付金として戻ってきます。また、医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除など、各種所得控除や税額控除を適用することで、税負担を軽減できる場合もあります。
確定申告が必要な人・不要な人
確定申告は、全ての人が行うわけではありません。主に以下のような方が確定申告の対象となります。
- 個人事業主やフリーランスの方(事業所得、不動産所得などがある場合)
- 給与所得者で、給与収入が2,000万円を超える方
- 給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額と、他の所得金額との合計額が20万円を超える方
- 給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える方(例:副業の所得など)
- 年金受給者で、公的年金等の収入金額が400万円を超える方、または公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円を超える方
- 不動産売却益や株式等の譲渡所得があった方
- 医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除(初年度)など、特定の控除を受けたい方(還付申告)
一方で、会社員で年末調整により所得税の精算が完了しており、上記のいずれにも該当しない場合は、原則として確定申告は不要です。
「確定申告について詳しく知りたい」という人は、以下の記事を参考にしてみてください!
【確定申告はいつからいつまで?いくらから必要?初心者にもわかりやすく解説】
確定申告の種類:青色申告と白色申告
個人事業主やフリーランスの確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
青色申告のメリットと要件
青色申告は、税務署への事前申請と、日々の取引を複式簿記という方法で記帳することが義務付けられますが、その分、税制上の優遇措置が多く設けられています。
- 最大65万円の青色申告特別控除:所得から最大65万円を控除できるため、課税所得を大幅に減らせます。
- 純損失の繰越控除:事業で赤字が出た場合、その赤字を翌年以降3年間繰り越して、将来の所得から差し引くことができます。
- 青色事業専従者給与:生計を一つにする親族に支払った給与を、一定の要件のもと経費にすることができます。
- 貸倒引当金の設定:売掛金などの債権が回収不能になるリスクに備え、事前に経費として計上できる制度です。
- 少額減価償却資産の特例:30万円未満の固定資産を、取得価額の全額をその年の経費にすることができます。
青色申告を行うためには、事業を開始した日または青色申告をしようとする年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
白色申告の特徴
白色申告は、青色申告のような事前申請や複雑な記帳義務がなく、比較的簡易な方法で申告ができます。
- 事前の承認申請は不要です。
- 記帳は簡易な単式簿記で認められます。
- 青色申告のような税制上の優遇措置はありません。
かつては記帳義務がないとされていましたが、現在は白色申告者であっても、事業所得や不動産所得がある場合は、帳簿書類の作成と保存が義務付けられています。
年末調整と確定申告の違い
年末調整と確定申告は、どちらも所得税に関する重要な手続きですが、その目的、対象者、手続きを行う主体、対象となる所得の種類、そして申告できる控除の範囲において、明確な違いがあります。
目的の違い
年末調整の主な目的は、給与所得者が1年間に源泉徴収された所得税の過不足を精算し、最終的な納税額を確定させることです。会社(雇用主)が従業員の代わりに税金の調整を行い、適切な所得税額を納めるための手続きとなります。
一方、確定申告は、全ての所得者が1年間の所得とそれに対する所得税額を計算し、税務署に申告・納税する手続きです。給与所得者だけでなく、事業所得者、不動産所得者など、多様な所得を持つ人が対象となり、納税義務の履行だけでなく、払いすぎた税金の還付を受けるためにも行われます。
対象者と手続きを行う主体の違い
年末調整の対象者は、原則として会社から給与を受け取っている会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者です。手続きは、通常、会社(雇用主)が従業員に代わって行います。
確定申告は、個人事業主、フリーランス、不動産オーナー、年金受給者、副業などで一定以上の所得がある会社員、医療費控除や住宅ローン控除の適用を受けたい会社員など、幅広い人が対象となります。手続きは、原則として納税者自身が税務署に対して行います。
対象となる所得と申告できる控除の種類の違い
年末調整で対象となる所得は、原則として給与所得のみです。申告できる所得控除も、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除など、限定的な範囲に限られます。
確定申告では、給与所得に加えて、事業所得、不動産所得、雑所得、退職所得など、全ての種類の所得が対象となります。控除の種類も年末調整で申告できるものに加え、医療費控除、寄付金控除、雑損控除、青色申告特別控除、住宅ローン控除(初年度)など、より多くの種類の控除を適用し、節税効果を高めることが可能です。
手続きの時期と提出先の違い
年末調整は、通常、その年の11月から12月頃に会社から必要書類が配布され、従業員が記入・提出します。所得税の過不足の精算は、翌年1月の給与で行われるのが一般的です。
確定申告は、原則としてその年の所得について、翌年の2月16日から3月15日の間に所轄の税務署へ申告書を提出します。e-Tax(電子申告)を利用すれば、期間中いつでも自宅などから申告が可能です。
確定申告をすれば、年末調整は必要ない?
従業員の方から「確定申告をするから年末調整はしなくてよい。」という申し出を受けることがあります。年末調整をしてもしなくても、確定申告をすれば1年間の所得税額が確定しますので、年末調整をする必要はないと考えられるかもしれません。確定申告を行う場合には勤務先に、保険料の控除証明書等や「給与所得者の保険料控除申告書」の提出を省略しても問題ありません。ただしその場合であっても、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」については会社に提出する必要があります。勤め先は、給与支払報告書を従業員の居住地の区市町村に提出したり、給与計算の際に扶養家族の人数を把握したりする必要があるためです。
また余談ですが「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、その年の最初の給与を支払う時までに会社に提出する必要がありますので、年末調整の際に翌年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらうのは、そのためです。これは確定申告を行う人でも提出義務がありますので、ご注意ください。
経営者が知っておくべき「従業員の年末調整」

年末調整は経営者の義務
従業員を雇用している経営者には、原則として従業員の年末調整を行う義務があります。これは所得税法によって定められた義務であり、従業員が納めるべき所得税を正確に計算し、過不足を調整するための重要な手続きです。
年末調整の対象となるのは、その年の1月1日から12月31日までの間に給与を支払ったすべての従業員です。ただし、年間の給与収入が2,000万円を超える従業員や、年の途中で退職し年末までに再就職していない一部の従業員は年末調整の対象外となり、自身で確定申告を行う必要があります。
年末調整の対象となる従業員と対象外となる従業員
年末調整の対象となる従業員
- 1月1日から12月31日まで引き続き勤務している従業員。
- 年の途中で入社し、年末まで勤務している従業員。
- 年の途中で退職したが、その年に再就職し、新しい勤務先で年末調整を受ける従業員(前の勤務先の源泉徴収票を提出した場合)。
- 年末調整の対象となる給与所得以外の所得がない従業員。
年末調整の対象外となる従業員
- 年間の給与収入が2,000万円を超える従業員。
- 2か所以上から給与を受けており、主たる給与以外の給与収入が20万円を超える従業員(原則として自身で確定申告が必要)。
- 年の途中で退職し、年末までに再就職していない従業員(一部例外あり)。
- 災害減免法の適用を受けている従業員。
- 非居住者である従業員。
これらの対象外となる従業員には、源泉徴収票を交付し、自身で確定申告を行うよう案内する必要があります。
年末調整で従業員から回収する書類と準備する書類
従業員から回収する主な書類
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:扶養親族の有無や異動、障害者控除、寡婦(夫)控除、ひとり親控除などの申告に使われます。
- 給与所得者の保険料控除申告書:生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除(国民年金保険料など、会社が徴収していないもの)、小規模企業共済等掛金控除などを申告するための書類です。控除証明書を添付してもらう必要があります。
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書:基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、所得金額調整控除を申告するための書類です。
- (住宅ローン控除を受ける2年目以降の従業員の場合)住宅借入金等特別控除申告書と金融機関からの残高証明書。
会社が準備・確認する主な書類・情報
- 従業員の給与支払額(1月1日から12月31日まで)。
- 従業員が支払った社会保険料の金額(健康保険、厚生年金保険、雇用保険など、会社が徴収したもの)。
- 従業員から提出された各種申告書と添付書類(控除証明書など)。
- 前職がある従業員の場合、前職の源泉徴収票。
年末調整の具体的な流れとスケジュール
年末調整は通常、11月頃から準備を開始し、12月中旬から下旬にかけて最終的な手続きを完了させます。
- 10月下旬~11月上旬:年末調整の準備を開始。従業員への案内、各種申告書の配布。
- 11月上旬~11月下旬:従業員から各種申告書と控除証明書を回収。内容の確認。
- 12月上旬~12月中旬:回収した書類に基づき、所得税額の再計算。過不足額の算出。
- 12月下旬:12月分の給与で過不足額を調整(還付または徴収)。
- 翌年1月31日まで:
- 従業員に源泉徴収票を交付。
- 税務署へ法定調書合計表(源泉徴収票、報酬等の支払調書など)を提出。
- 市町村へ給与支払報告書を提出。
これらの期限は厳守する必要があり、遅延すると罰則が科される可能性もあるため注意が必要です。
年末調整でよくある間違いと注意点
- 書類の不備・記載漏れ:従業員が提出する書類に不備がないか、控除証明書が添付されているかなどを確認する。不備があれば従業員に差し戻し、修正・追記を求める。
- 扶養親族の重複:夫婦共働きの場合、どちらか一方のみが扶養控除を適用できるため、重複がないか確認する。
- 所得要件の見落とし:配偶者控除や扶養控除には、扶養親族の所得要件があるため、その要件を満たしているか確認する。
- 期限の厳守:上記で述べたように、各種書類の提出期限は厳守する必要がある。
- 電子申告の活用:近年、年末調整の電子化が進んでいます。e-Taxを利用した電子申告を導入することで、事務負担の軽減やペーパーレス化が可能です。
経営者としては、従業員がスムーズに年末調整を終えられるよう、適切な情報提供とサポートを行うことが重要です。
フリーランス・経営者自身は確定申告が必須

フリーランス、個人事業主、そして会社経営者(役員)の多くは、ご自身の所得に対する所得税を計算し、税務署に申告・納税する「確定申告」が必須となります。これは、従業員が会社を通じて行う年末調整とは異なり、ご自身で税務処理を行う重要な義務です。
年末調整は会社が従業員の所得税を計算し、納税を代行する制度ですが、フリーランスや個人事業主には会社のような雇い主が存在しません。また、会社経営者であっても、役員報酬以外の所得がある場合や、会社が法人として行う確定申告とは別に、個人としての確定申告が必要となるケースがあります。
確定申告が必要なケース
フリーランスや経営者自身が確定申告を行う必要がある具体的なケースは多岐にわたります。自身の状況を確認し、申告漏れがないように注意しましょう。
個人事業主・フリーランスの場合
個人事業主やフリーランスは、事業活動によって得た所得(事業所得)に対して、原則として確定申告が必要です。事業の規模にかかわらず、所得が発生すれば納税義務が生じます。
- 事業所得がある場合:年間所得から経費を差し引いた所得が基礎控除額(48万円)を超える場合、確定申告が必須です。
- 源泉徴収されている場合:取引先から報酬が支払われる際に、あらかじめ所得税が差し引かれている(源泉徴収されている)ケースがあります。この場合、確定申告を行うことで、納めすぎた税金が還付される可能性があります。
- 消費税の納税義務がある場合:課税売上が一定額を超えると、消費税の確定申告も必要になります。
- 青色申告特別控除を受けたい場合:青色申告を選択している場合、確定申告をすることで最大65万円の特別控除が適用され、節税につながります。
会社経営者(役員報酬を得ている場合)の場合
会社経営者で役員報酬を得ている場合、その役員報酬は給与所得として会社で年末調整の対象となるのが一般的です。しかし、以下のようなケースでは、役員個人として確定申告が必要となります。
- 役員報酬以外の所得がある場合:不動産賃貸による所得(不動産所得)、株式の売買による所得(譲渡所得)、配当所得など、役員報酬以外の所得が年間20万円を超える場合。
- 複数の会社から役員報酬を得ている場合:複数の会社から給与所得を得ており、年末調整ができない所得がある場合。
- 医療費控除や寄付金控除などを受けたい場合:年末調整では対応できない所得控除や税額控除(例:多額の医療費を支払った場合の医療費控除、ふるさと納税を行った場合の寄付金控除など)を受けたい場合。
- 住宅ローン控除を初めて適用する場合:住宅ローン控除は、初年度のみ確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で対応可能です。
確定申告をしないとどうなる?
確定申告が必要な方が申告を怠ると、税務上のペナルティが課せられるだけでなく、様々な不利益を被る可能性があります。
- 無申告加算税:期限内に確定申告を行わなかった場合に課される税金です。本来納めるべき税額に応じて、最大で20%の割合で加算されます。
- 延滞税:納付期限までに税金を納めなかった場合に課される税金です。延滞期間に応じて、日割りで計算されます。
- 青色申告特別控除の不適用:青色申告を選択している場合でも、期限内に申告しないと最大65万円の特別控除が受けられなくなります。
- 住民税の決定遅延:所得税の確定申告の情報は住民税の計算にも使われるため、申告が遅れると住民税の決定も遅れ、納付に影響が出ることがあります。
- 社会保険料への影響:国民健康保険料や国民年金保険料の計算にも所得情報が用いられるため、正確な申告がないと適切な保険料が計算されません。
- 融資審査への影響:金融機関からの融資を受ける際、確定申告書は所得証明として重要な書類です。未申告だと融資審査に不利になる可能性があります。
確定申告で活用したい節税対策
確定申告は義務であると同時に、正しく行うことで節税につながる多くの機会があります。経営者やフリーランスが活用できる主な節税対策を把握しておきましょう。
- 青色申告特別控除:個人事業主が青色申告を選択し、複式簿記で記帳して期限内に申告すれば、最大65万円(簡易な帳簿付けでは10万円)の所得控除が受けられます。
- 各種所得控除:社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金控除など、個人の状況に応じた様々な所得控除を活用できます。
- 経費計上:事業に関連する支出は経費として計上できます。消耗品費、旅費交通費、通信費、地代家賃(事業用部分)、接待交際費など、漏れなく計上することが重要です。
- 減価償却:事業用として購入した高額な資産(パソコン、車両、建物など)は、耐用年数に応じて費用を分割して計上する減価償却を活用できます。
- 小規模企業共済:個人事業主や会社の役員が加入できる退職金制度で、掛金全額が所得控除の対象となります。
- ふるさと納税:自治体への寄付を通じて、寄付金控除を受けることができます。実質2,000円の負担で返礼品を受け取りながら節税が可能です。
確定申告の主な流れと提出書類
確定申告をスムーズに進めるためには、基本的な流れと必要な書類を事前に把握しておくことが大切です。
主な流れ:
- 資料の収集と整理: 1年間の売上や経費に関する領収書、請求書、銀行口座の入出金明細、各種控除証明書(生命保険料控除証明書、iDeCoの年間払込証明書など)、源泉徴収票(給与所得がある場合)などを集め、整理します。
- 帳簿付け: 会計ソフトや手書きで、日々の取引を帳簿に記録します。青色申告の場合は複式簿記が求められます。
- 所得と税額の計算: 帳簿に基づいて所得金額を計算し、適用できる所得控除や税額控除を適用して、最終的な所得税額を算出します。
- 確定申告書の作成: 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や市販の会計ソフトを利用して、確定申告書を作成します。
- 確定申告書の提出: 作成した申告書を、原則として毎年2月16日から3月15日までの期間に、所轄の税務署へ提出します。提出方法は、e-Tax(電子申告)、郵送、税務署への持参があります。
- 納税: 申告した税額を納付期限までに納めます。e-Taxを利用したダイレクト納付、クレジットカード納付、コンビニ納付など、様々な方法があります。還付申告の場合は、指定口座に還付金が振り込まれます。
主な提出書類(フリーランス・経営者個人の場合):
- 確定申告書AまたはB(所得の種類によって選択)
- 青色申告決算書または収支内訳書(個人事業主の場合)
- 源泉徴収票(給与所得や一部の報酬がある場合)
- 各種控除証明書(生命保険料控除証明書、医療費控除の明細書、寄付金受領証明書など)
- マイナンバーカードまたは通知カードと本人確認書類
- その他、所得や控除の内容に応じた書類
経営者・フリーランスがよくある勘違い

個人事業主・フリーランスは年末調整ができる?
個人事業主やフリーランスの方の中には、「会社員と同じように年末調整ができるのではないか」と誤解されているケースが少なくありません。しかし、年末調整はあくまで「給与所得者」を対象とした制度です。
年末調整の対象は「給与所得者」のみ
年末調整は、雇用主が従業員に支払った給与から源泉徴収した所得税について、年末に最終的な年税額を計算し、過不足を調整する手続きです。個人事業主やフリーランスが得る収入は「事業所得」であり、給与所得とは異なります。そのため、事業所得のみを得ている個人事業主やフリーランスは、年末調整の対象外となります。
自身が年末調整の対象外であるため、確定申告を通じて所得税を計算し、納税する必要があります。
法人の役員は年末調整が不要?
法人を経営する役員の方も、自身の年末調整について誤解している場合があります。「会社の代表だから年末調整は不要」と考えてしまうケースです。
役員報酬は「給与所得」として年末調整の対象
法人の役員が会社から受け取る役員報酬は、税法上「給与所得」として扱われます。したがって、役員も一般の従業員と同様に、会社(法人)が年末調整を行う義務があります。年末調整を適切に行うことで、役員個人の所得税の過不足が調整されます。
ただし、役員報酬以外に不動産所得や事業所得がある場合、あるいは医療費控除や寄付金控除など年末調整では対応できない控除を適用したい場合は、別途確定申告が必要になります。
経費計上に関する誤解
「何でも経費になる」という誤解や、経費の証拠となる書類の管理不足も、経営者やフリーランスによく見られる勘違いです。
「何でも経費になる」わけではない
経費として認められるのは、事業に関連する費用のみです。プライベートな支出や、事業との関連性が薄い費用は経費にはできません。例えば、自宅兼事務所の家賃や光熱費などは、事業で使用している割合に応じて按分計算し、その部分のみを経費とすることができます。この「按分」の考え方を誤ると、税務調査で指摘される可能性があります。
領収書・レシートの保管を怠る
経費を計上するためには、その支出が事業に関連するものであることを証明する書類が必要です。領収書やレシート、請求書などは、税務調査の際に経費の正当性を証明する重要な証拠となります。これらの書類を紛失したり、適切に整理・保管していなかったりすると、せっかくの経費が認められなくなるリスクがあります。電子帳簿保存法の要件を満たした上で電子保存することも可能ですが、その場合も適切な管理が必要です。
確定申告をしないとバレない?
「少額の所得だから確定申告しなくても税務署にはバレないだろう」と安易に考えてしまうケースも散見されますが、これは大きな間違いです。
税務署はさまざまな情報源から所得を把握している
税務署は、個人や法人の所得に関するさまざまな情報を把握しています。例えば、銀行口座の入出金記録、クレジットカードの利用履歴、取引先からの支払調書、行政機関からの情報提供、そして近年ではマイナンバー制度を通じた情報連携など、多岐にわたる情報網を持っています。確定申告を怠った場合、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課せられるだけでなく、悪質な場合は重加算税が課される可能性もあります。
各種控除の適用漏れ
確定申告で適用できる所得控除や税額控除について、その種類や適用要件を十分に理解しておらず、本来受けられるはずの節税メリットを逃しているケースがあります。
所得控除と税額控除の種類と活用
所得税には、所得から一定額を差し引く「所得控除」と、所得税額から直接差し引く「税額控除」があります。例えば、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、寄付金控除、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金なども所得控除の対象です。また、住宅ローン控除などは税額控除です。これらの控除を適用することで、納める税額を大幅に減らすことができます。特に医療費控除や寄付金控除などは、年末調整では対応できないため、確定申告をしなければ適用できません。
消費税の申告義務に関する誤解
消費税の申告義務について、特に免税事業者から課税事業者への切り替わりのタイミングで誤解が生じやすい傾向があります。
免税事業者から課税事業者への切り替わり
個人事業主や法人で、消費税の納税義務が免除される「免税事業者」であっても、課税売上高が一定額を超えると「課税事業者」となり、消費税の申告・納税義務が発生します。この基準は、原則として2年前の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判断されますが、特定の期間(特定期間)の課税売上高や給与支払額が1,000万円を超えた場合にも課税事業者となることがあります。また、インボイス制度の開始により、免税事業者であっても適格請求書発行事業者として登録した場合は課税事業者となるため、自身の状況を正しく把握することが重要です。
青色申告のメリットを十分に活用できていない
青色申告の承認を受けているにもかかわらず、そのメリットを最大限に活かしきれていない経営者やフリーランスも少なくありません。
最大65万円の特別控除や赤字の繰り越し
青色申告には、所得から最大65万円を控除できる「青色申告特別控除」や、事業で発生した赤字を最長3年間繰り越せる「純損失の繰越控除」、家族への給与を経費にできる「青色事業専従者給与」など、白色申告にはない多くの節税メリットがあります。これらのメリットを享受するためには、複式簿記による記帳や、確定申告書の期限内提出といった要件を満たす必要があります。これらの要件を理解し、適切に実行することで、大きな節税効果を得ることができます。
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YFPクレア神田オフィスをご利用いただくことで、経営者様やフリーランスの皆様は、税務に関する多くのメリットを享受できます。
- 時間と労力の節約: 複雑な確定申告や年末調整、記帳業務から解放され、本業に集中できる時間を確保できます。
- 正確な税務処理: 税務のプロフェッショナルが最新の税法に基づいて処理を行うため、計算ミスや申告漏れのリスクを大幅に軽減します。
- 節税効果の最大化: 適用可能な控除や特例を最大限に活用し、合法的な範囲での節税対策を積極的にご提案します。
- 税務調査への安心感: 万が一の税務調査の際も、専門家として対応をサポートし、経営者様の不安を軽減します。
- 経営状況の可視化: 記帳代行を通じて、月次で経営状況を把握できるため、迅速な経営判断に役立てられます。
ご相談からサポート開始までの流れ
YFPクレア神田オフィスでは、お客様が安心してサービスをご利用いただけるよう、丁寧な対応を心がけております。
- お問い合わせ: まずはお電話またはお問い合わせフォームよりご連絡ください。初回のご相談は無料で承ります。
- ヒアリング・ご提案: お客様の現在の状況や税務に関するお悩み、ご要望を詳しくお伺いし、最適なサポートプランをご提案いたします。
- お見積もり: ご提案内容に基づき、サービス内容と料金を明確に記載したお見積もりをご提示いたします。
- ご契約: サービス内容と料金にご納得いただけましたら、ご契約となります。
- サポート開始: 専門家がお客様の税務を全面的にサポートいたします。
お問い合わせ
年末調整や確定申告、日々の経理業務でお困りの経営者様、フリーランスの皆様は、ぜひ一度YFPクレア神田オフィスにご相談ください。専門知識と経験豊富なスタッフが、皆様の事業を強力にバックアップいたします。


